このたび、京都産業大学で涅槃図を研究されている 河本俊子さん より、温かい応援メッセージをいただきました。
河本さんは大の猫好きであり、以前、本昌寺の涅槃図開帳の際にお参りいただいたご縁があります。
そのときに涅槃図に描かれた猫をご覧になり、「なんて可愛らしい猫なんでしょう!」と大変感動され、私たちに熱心にその魅力を語ってくださいました。
そのお言葉に私たちも勇気づけられ、「この猫を含めた涅槃図を、ぜひ後世に残していかなければ」との思いを新たにし、修復へと大きく踏み出すきっかけとなりました。
今回のプロジェクトも、こうしたご縁と応援に支えられて進んでおります。改めて河本さんに心より感謝申し上げます。
メッセージはプロジェクトページの最後の方に掲載しております。
ご一読いただけたら嬉しいです。
以下、同じ内容ですが、本当に素敵なメッセージですのでこちらにも貼らせていただきます。
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京都産業大学 日本文化研究所上席客員研究員
河本 俊子 様
あなたの猫に会いに来るところ
本昌寺さんの古い涅槃図は色彩も鮮やかで、信徒さんの信仰を集めて長年大切に保存と継承がされてきたとわかります。
お釈迦さまの臨終の場面を描いた涅槃図を見るとき、諸説ありますが「本来は描かれないもの」とされる猫の姿を、居合わせる群衆の中に見つけるのはとても嬉しいものです。この涅槃図の注文主と絵師たちは通説に背いても猫を描かずにはいられなかったのだと想像を巡らすと、はるか昔も今も変わらない猫好きの仲間の存在がとても嬉しく心強いのです。
飼い猫となって安心の中で人と暮らす猫は人の気持ちをよく読み、日ごとに深まる信頼と愛情の表現を、目と目で交わし合うことも多くなります。
涅槃図に描かれる猫は、お釈迦さまの死を嘆いて目を閉じていたり、うつむいたり背を丸めて伏せたり後ろ姿で描かれることが多いのですが、本昌寺さんの涅槃図の猫は、しっかりとこちらを向き、視線を返すように描かれています。そしてその涙色の瞳の中に小さな「ハート」があるのに気付いたなら、その可愛らしさに思わず笑ってしまうことでしょう。
私が猫を見るとき、猫も私をしっかりと見返してくれて、そして大好きだよ、わかっているよと伝えてくれる、飼い主にとってこれほど幸せなことはありません。
どんなに愛情を注いでも猫達は人よりもずっと早くこの世を去ってしまいますが、大事な私の猫がどこへ行ってしまったのかと悲嘆に暮れるとき、お釈迦さまの世界の住人となっていると知るのは、残された私たちの気持ちの慰めになります。
私の猫に会いに行ける本昌寺さんの涅槃図が、この後も長く受け継がれていきますように。
保存修理への道が確かに開かれますように、祈っております。
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2025年9月8日(月)